日記的塵箱

本の紹介、雑談、エッセイを通して自分の文章力向上を目指し、今後書く小説の基盤としようと思っている早大生です。

無限ループって怖くね

こんにちは、早速ですが記念すべき1冊目の紹介に参りたいと思います。

 

今回紹介するのは星新一さんのこれからの出来事』(新潮文庫です。

 

200ページほどしかなく、その中に作品が20ほどあるため、一つ一つの作品はとても短く、簡潔な仕上がりとなっています。

 

ジャンルはSFに近いのかなと個人的に思いました。

 

一つ一つの作品毎に完結しており、また全てを明かさないのが特徴であるため、これはつまりこういう話だったのかなと予想するのが一つの楽しみ方だと思います。

 

なぜこの本を紹介したかですが、紹介する理由は特にありません(つい先ほど読んだ本がこれだったからです)。

 

初めに10点満点で大まかな点数をつけさせていただきます。

 

読み易さ  

面白さ   

為になる  

 

といった具合です。人の作品に点数をつけるのって失礼ですかね?

 

まず読み易さについて。

 

やはり短編集だけあって、正直かなり読みやすかったです。

 

難解な表現もほとんどなく、読んでいて気持ちがよいほどすらすらページが捲れていきます。

 

内容もそこまで複雑でないし、本を読みたいけど長時間集中できないといった方でも楽しめると思います。

 

次に面白さについて。

 

これに関しては作品によって面白いもの、そうでもないものなど様々ですが、平均してどれもわかりやすく、面白かったです。

 

その中で個人的に1番面白かった「交渉」を紹介します。

 

 

ある会社の社長室に優秀と書かれた名刺を持つ一人の青年が現れた。

 

彼は来訪者とのトラブルが起きた時、その人の怒りを宥め、帰らせることができる薬を置いて行った。

 

その後、都合よく激怒した恐喝屋達が次々と現れ、社長は青年にもらった薬を使って来訪者を帰らせた。

 

しかし、何回帰らせても恐喝屋たちは何度も同じように、さらに頻繁に現れるようになった。

 

困り果てた社長に青年が「少々お金をいただきますが、その何度も現れる恐喝屋達を帰らせ、二度と姿を見せないようにする魔法を彼らにをかけましょう。」と言った。

 

言った通り恐喝屋達は現れなくなり、社長は快くお金を支払った。

 

青年が「最後に一つお願いがあります。私の名刺に私は優秀だということを書いていただけませんか?」と言い、社長は快諾した。

 

去り際に青年は「これに関連したことは、すっかり忘れてしまうんですね。」と言い残し、その場を後にした。

 

 

話はここで終わります。最後の青年の一言でこの話のすべての種が明かされるわけです。

 

最後に為になるについて。

 

正直この話はどちらかというと楽しんで読むもので、そこから何か教訓を得るという目的で読むものではないと思います。

 

しかし先ほど紹介した「交渉」という作品からは組織的犯罪や陰謀という社会の闇に対してアンテナを張るべきだというメッセージが読み取れなくもありませんので(実際私はそう思いました)、精読し、内容を咀嚼することで得られるものも実は多いのではとも思いました。

 

私はできれば紹介した本を皆さんに読んでもらいたいと思っているので、これ以上のネタバレや感想は、実際に本を読む際に邪魔になると思う(感想は人それぞれ)のでこれくらいにしておこうと思います。

 

今後、星新一さんのほかの作品も読んで紹介できればと思います。

 

今回は以上です。ではまた。